地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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界面活性剤研究室

安価な天然原料(油脂、アミノ酸、糖など)を用いて、様々な機能を持つソフトマテリアル(界面活性剤や高分子)の開発に取り組んでいます。例えば、界面活性剤分子が自己組織化する性質を活用したさまざまな溶媒をゲル化・増粘する低分子ゲル化剤の開発、酵素と化学触媒とを組み合わせた合成プロセスのワンポット化など機能性素材の製造プロセスの研究、外部刺激や分子認識能を利用した両親媒性高分子の会合挙動や会合プロセスでの物質の担持・徐放性能の制御などに関する研究、分子集合体を鋳型とした金ナノワイヤーの合成と構造制御の研究を行っています。また、質量分析計を検出器として用いた各種クロマトグラフィーによる界面活性剤製剤の成分の定性・定量や製品自身のプロファイルを可視化する研究なども行っています。


担当者

 ・懸橋 理枝     研究室長
 ・東海 直治     主幹研究員
 ・佐藤 博文     主任研究員
 ・川野 真太郎    主任研究員
 ・中川 充      研究員
 ・靜間 基博     研究部長

対応領域

・界面活性剤業界、石鹸洗剤業界、香粧品関連業界

・界面活性剤、石けん、洗剤、香粧品等

・構造解析、機器分析、有機合成、物性評価(液体の表面張力、起泡力、微粒子分散液の粒径分布、ゼータ電位測定、界面活性剤(洗剤等)の生分解性評価、軽油・灯油等の石油製品や液体の化粧品・洗剤等の引火点試験)

研究内容

機能性低分子ゲル化剤の開発
:新規低分子ハイドロゲル化剤(アミドアミンオキシド型界面活性剤)による水や極性有機溶媒の
 増粘・ゲル化

 化粧品、洗剤、塗料など我々の身近にある液体の製品は、液体の粘性を高めたり(増粘)、固体のように固めたり(ゲル化)することで、使いやすくしたり感触をよくしたりしています。最近、従来の寒天やゼラチンのような高分子型ゲル化剤に対し、低分子化合物の自己組織化を利用した低分子ゲル化剤が注目を集めています。 当研究室では、これまでの界面活性剤に関する知見を活かし、1~2%の添加量で様々な液体を増粘・ゲル化できる界面活性剤型低分子ゲル化剤を開発しました。 例えば、従来のハイドロゲル化剤では「電解質の添加による減粘」が課題とされてきましたが、この界面活性剤は電解質水溶液も増粘・ゲル化します。また、分子の化学構造や溶液のpHにより、ゲル化温度(ゾルゲル転移温度)を制御することにも成功しました。さらに、形成された分子集合体の構造により、溶液の外観や粘度挙動が異なることを明らかにしました。

文献

  1. 水や極性有機溶媒を増粘・ゲル化する界面活性剤、懸橋理枝、東海直治、JETI 2020, 68(8), 43-47.
  2. アミドアミンオキシド型界面活性剤の水溶液挙動‐会合体形成とゲル化に対するスペーサー長の効果、懸橋理枝、東海直治、ファインケミカル 2015, 44(10), 20-26.
  3. Effects of the spacer length on the aggregate formation and the gelation of alkylamide amine oxides, R. Kakehashi, N. Tokai, H. Maeda, Colloid Polym. Sci. 2015, 293, 3157-3165.

機能性低分子ゲル化剤の開発
:新規低分子オイルゲル化剤による油の増粘・ゲル化

 動植物油や鉱物油などの油は非常に用途が広く、これらを効果的に増粘・ゲル化することができれば、新たな製品の開発が可能になります。当研究室では、さまざまな油を効果的に増粘・ゲル化させる、新規低分子オイルゲル化剤を開発しました。これらは、工業用に用いられるいくつかの有機溶媒を増粘・ゲル化することも可能です。

文献

  1. 様々な液体をゲル化する界面活性剤型低分子ゲル化剤の開発、東海直治、懸橋理枝、科学と工業 2021, 95(5), 160-166.
  2. ジカルボン酸アミド型オイルゲル化剤、東海直治、懸橋理枝、ファインケミカル 2016, 45(10), 5-11.

油脂中の健康懸念物質の定量蛍光発光特性を有する両親媒性化合物の合成と応用開発

 油脂精製中に微量発生するモノクロロプロパンジオール(MCPD)類は健康に被害を及ぼす懸念がある物質です。WHOにより設定された3-MCPDの一日摂取許容量は体重1 kgあたりわずか2μgと非常に微量であり、日本でもその検出法の開発が農水省リスク管理検討会により優先度Aに追加されています。3-MCPDはわずかな外的要因で容易にグリシドールや異性体である2-MCPDに変換するにもかかわらず、定量中の変換についての知見がないことが問題となっていました。本研究では、定量中の化合物変換を直接観測し、化合物挙動を明らかとするとともに、標品を合成してこれまで無視されていた2-MCPDの定量にも成功しました。

文献

  1. “Estimation of the Intestinal Absorption and Metabolism Behaviors of 2- and 3-Monochloropropanediol Esters”, Y. Watanabe, H. Sato, et al, Lipids 2016, 51, 913-922.
  2. 「DGF公定法中でのモノクロロプロパンジオール類の動態と定量における問題点に関する研究」, 佐藤博文, オレオサイエンス2016, 16, 173-182. (オレオマテリアル賞受賞総説)
  3. “2-Monochloro-1,3-propanediol (2-MCPD) Dynamics in DGF Standard Methods and Quantification of 2-MCPD”, H. Sato, Y. Watanabe, et al, J. Oil Am. Chem. Soc. 2013, 90, 1121-1130.

両親媒性環状オリゴ糖化合物を用いた分子認識と応用材料開発

 環状オリゴ糖であるシクロデキストリン(CD)は、親水性表面と内部に疎水性空孔を有し、水中で有機分子を包接する特徴を有しています。このCDと親油性架橋剤を用いて、CD架橋型両親媒性ポリマーを作製可能です。このCDポリマーの両親媒性を活かした乳化剤への利用や、水中での自己集合構造を制御することにより、ハイドロゲル化剤への利用も可能です。
 また、CDを温度・pHに応答可能な高分子側鎖に修飾させることで、上記の外部刺激に加えてCDの分子認識能を有する多刺激応答型両親媒性高分子の設計も行っています。この材料は、特異的な物質のみを認識するなど外部環境に対応した会合形成変化を視認可能な分子認識センサー(診断剤)としての応用が可能です。

文献

  1. “Modulating Polymeric Amphiphiles Using Thermo- and pH-Responsive Copolymers with Cyclodextrin Pendant Groups through Molecular Recognition of Lipophilic Dye”, S. Kawano, J. Lie, R. Ohgi, M. Shizuma, M. Muraoka, Macromolecules 2021 in press (DOI: https://doi.org/10.1021/acs.macromol.1c00265)
  2. “Preparation of Pickering emulsions through interfacial adsorption by soft cyclodextrin nanogels”, S. Kawano, H. Sato, M. Shizuma, D. Ono et al, Beilstein J. Org. Chem. 2015, 11, 2355–2364
  3. “熱可逆性を有する両親媒性シクロデキストリン架橋ポリマーの増粘特性”, 川野真太郎, C&I Commun. 2015, 40, 19‒21.

界面活性剤を鋳型に用いた金ナノ粒子の形状制御

 界面活性剤は、溶液中で自発的に整列し規則的なナノ構造を形成します。そして分子構造や調製条件によって、球状、らせん状、チューブ状等の構造体につくり分けることが可能です。最近、これらのナノ構造を無機材料に転写して機能性を付与する研究が盛んに行われています。当研究室では、大学と共同で界面活性剤の集合体を鋳型とした金ナノ粒子の形状制御に取り組みました。はじめに界面活性剤からねじれたリボン状のナノ構造体を調製し、これを鋳型とすることで二重らせん構造の金ナノワイヤーを合成しました1,2)。得られた金ナノワイヤーは透明電極などの電子材料への応用が期待できます。

文献

  1. “Tuning Gel–Sol Transition Behavior of a Hydrogel Based on 12-Hydroxystearic Acid and a Long-Chain Amidoamine Derivative”, M. Nakagawa, T. Kawai, Bull. Chem. Soc. Jpn. 2019, 92, 435-440.
  2. “Chirality-Controlled Syntheses of Double-Helical Au Nanowires”, M. Nakagawa, T. Kawai, J. Am. Chem. Soc. 2018, 140, 4991-4994.

連絡先 9:00~12:15/13:00~17:30(土日祝・年末年始を除く)

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  • 懸橋 理枝【問合せ担当者】
    rie★omtri.or.jp
  • 東海 直治
    ntokai★omtri.or.jp
  • 佐藤 博文
    hsato★omtri.or.jp
  • 川野 真太郎
    skawano★omtri.or.jp
  • 中川 充
    nakagawa★omtri.or.jp
  • 靜間 基博
    shizuma★omtri.or.jp


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