地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究所報告(No.29)

平成27年度大阪府立産業技術総合研究所(現・和泉センター)報告(No.29)について紹介しています。

本号では、技術報告3編、技術論文4編、他誌掲載論文等概要63件、口頭発表概要242件、平成26年度合同発表会発表概要31件、第2回プロジェクト研究報告会発表概要6件、および産業財産権概要11件を掲載していました。


このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。
また技術報告、技術論文は全文をPDFファイルでご覧いただけます。

※こちらに掲載されている情報は、発行当時の内容をそのまま掲載しているため、技術内容、保有機器、組織名、担当者などが、現在のものとは異なる可能性がありますのでご了承ください。

 

(平成27年9月 発行)


冊子全体のPDFはこちら<PDF:4,964KB>

  

テーマ一覧

技術報告

1 ネットワークアナライザを用いた電界効果トランジスタの周波数特性測定 山田義春
2 猛獣排泄物を利用した猫用忌避製品の開発  喜多幸司・山下怜子・太田義隆・星 英之
3 燃料電池金属セパレータの高精度プレス成形技術の開発  白川信彦 

技術論文

1 電気トリーの3次元構造解析 岩田晋弥
2 ガラスクロス/軟質PVC複合シートにおける引張り特性のひずみ速度依存性 西村正樹・四宮徳章・津田和城
3 遺伝子解析法を用いた動物毛の同定方法の検討 増井昭彦・井川 聡
4 ステンレス鋼に対する低温プラズマ浸炭処理における耐食異常層の抑制 榮川元雄・上田順弘

 


 

技術報告及び技術論文概要

技術報告

ネットワークアナライザを用いた電界効果トランジスタの周波数特性測定
山田義春
  
活性層に酸化物半導体や,有機半導体を用いたトランジスタは,シリコン系のトランジスタにはない特徴がある.例えば,有機半導体はフレキシビリティー性に優れており,酸化物半導体は透明性という点からディスプレイなどの応用展開がなされている.このため,応答速度の観点からはシリコン系のトランジスタと比較して遥かに小さいが,研究開発は盛んであり,当所でも実用化を目指した研究が行われている.トランジスタがどの周波数まで動作するかによって情報処理能力が決定されるため,これらのトランジスタの応用範囲を広げ,より市場規模の大きい広範な製品で使用されるために重要となるのが,遮断周波数などの周波数特性である.周波数特性は単に材料の移動度のみで決定されるのではなく,チャネル長や寄生容量など構造にも依存するため,試料ごとに簡便に素早く測定できることが望ましい.そこで,ネットワークアナライザを用いたトランジスタの周波数特性測定を検討した.本報告では,ネットワークアナライザを用いる測定の基礎を解説し,トランジスタの電流増幅率を測定した事例を紹介する.
詳細はこちらから<PDF:1607KB>
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猛獣排泄物を利用した猫用忌避製品の開発
喜多幸司・山下怜子・太田義隆・星 英之
  
本稿では,猛獣(ライオン,ヒグマ,オオカミ等)の排泄物そのものを使用するのではなく,排泄物の臭気分析に基づいた模擬臭気により,猫への忌避効果を発現させる忌避製品の開発結果について述べる.まず,排泄物から揮発する化学物質をガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)により分析し,排泄物に似た臭気を放つことができる模擬臭気放散液体(有機酸を主体とした調合液)を調製した.次に,調合液を発泡ウレタンシートに含浸させ,シートをアルミ蒸着フィルム製の袋に入れたのち,スリット付きのプラスチックケース内に装填した.猫を用いた忌避効果の実証実験は,公立大学法人大阪府立大学において実施し,市販品と同等の約4週間保持されることがわかった.また,猫による被害で困っている沖縄県在住者に製品を配布し,アンケート調査も実施した結果,市販品以上の忌避効果と簡便な取り扱いを確認することができた.なお,本研究は,平成24年度ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金制度の下,実施委託された.
詳細はこちらから<PDF:2233KB>
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燃料電池金属セパレータの高精度プレス成形技術の開発
白川信彦
  
クリーンなエネルギー源として注目されている固体高分子形燃料電池は,その構成部品がいずれも高価な素材であり,その普及に際してはさらなる低コスト化が求められている.また,自動車への搭載や可搬型ユニットへの展開,設置スペース削減のニーズから,軽量化・コンパクト化も課題に挙げられている.主要構成部品の一つであるセパレータを金属薄板プレス化することは低コスト化の要求に応えられる最も有効な手段であり,樹脂モールドや切削加工で得られるセパレータに比べて,軽量化・コンパクト化も達成することができる.本報告では,サーボプレスのモーション制御を適用した温間成形により高精度化を達成した金属セパレータの開発について,戦略的基盤技術高度化支援事業とそれに引き続いて実施した共同研究において得られた成果について紹介する.特に,本研究で開発した「温度勾配付与プレス成形技術」について,SUS316L-BA材を対象にして平坦度の高い高精度のセパレータが得られる条件を検討した結果を報告する.
詳細はこちらから<PDF:2186KB>
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技術論文 

電気トリーの3次元構造解析
岩田晋弥
  
高分子は電気絶縁材料として幅広い分野で利用されてきた.しかし,長期間にわたり高電界の下で使用すると,絶縁性が低下し絶縁破壊を起こす.電気トリーは絶縁破壊の前駆現象として知られており,絶縁劣化の主な要因の一つである.本稿では,エポキシ樹脂に発生させた電気トリーに対しX線CTを用い3次元的に構造を撮影し,コンピューターシミュレーションによって解析したので報告する.
詳細はこちらから<PDF:1656KB>
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ガラスクロス/軟質PVC複合シートにおける引張り特性のひずみ速度依存性
西村正樹・四宮徳章・津田和城
  
ガラスクロス(GC)に軟質のポリ塩化ビニル(SPVC)がコーティングされた複合シート(GC/SPVC)は,主に建築分野で使用される複合材料である.GC/SPVCは,石膏ボード,木,または金属製の板材に代替する吊り天井部材としての利用が図られており,従来材料より軽量かつ柔軟性を有することから,大規模地震発生時に落下した場合でも,対人危険性を低減する効果が期待される.しかし,地震発生時には,シートの上方に設置された空調機器や照明器具等がシート面に落下する可能性がある.したがって,シートには落下物に対する耐衝撃性が要求され,衝撃的な高速変形がシートに生じた時の力学特性を評価することは極めて重要である.本研究では,GC/SPVCおよびポリエステルクロス(PET-C)にSPVCがコーティングされた複合シート(PET-C/SPVC)の2種類について,3 m角程度のシートに対しその上方1 mから3 kgの鉄球が落下した場合に相当するひずみ速度(1 s-1),およびその10 %,1 %のひずみ速度で引張り実験を行い,各複合シートにおける引張り特性のひずみ速度依存性を比較した.
詳細はこちらから<PDF:4127KB>
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遺伝子解析法を用いた動物毛の同定方法の検討
増井昭彦・井川 聡
  
製品やその製造工程で発生する可能性のある動物毛異物について,遺伝子解析法を用いた同定を行うため,動物毛からの鋳型DNAの調製,PCRによる増幅について検討を行った.試料からのDNAの調製は,抽出キットの種類により抽出量に差が見られた.試料のDNA量は,毛根部から先端部に行くに従って減少していた.また,動物毛が抜けてから時間が経過した試料についても,DNAの抽出,PCRによる増幅は可能であった.しかしながら,抜けてからの履歴によっては,得られるDNA量が減少している可能性があるため,考慮が必要であることがわかった.PCRによる増幅については,種々のプライマーセットについて検討したところ,独自に選択したプライマーセットを用いた場合,ヒト毛髪,獣毛(ネコ,イヌ)いずれにおいても,良好な増幅結果を示していた.今後,より多くの動物毛を用いて検討することにより,動物毛異物の同定手法の1つとして活用できると考えられる.
詳細はこちらから<PDF:1647KB>
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ステンレス鋼に対する低温プラズマ浸炭処理における耐食異常層の抑制
榮川元雄・上田順弘
  
低温プラズマ浸炭処理はオーステナイト系ステンレス鋼の表面にS相と呼ばれる硬度と耐食性を兼ね備えた表面硬化層を形成する手法として知られている.しかしながら,プラズマ処理条件によってはS相の上に耐食性に劣る異常層が薄く形成されることがあり,バフ研磨や酸洗いなどの手法を用いて異常層を除去する必要があった.ここで,プラズマ浸炭処理条件の見直しによって異常層の形成自体を抑制できれば,プロセス全体の処理コストを大きく低減することができると期待される.耐食性の劣化は,耐食異常層に過剰な炭素が含まれ,これがクロム炭化物として析出し,ステンレス鋼中の有効なクロム量が減少するためと考えられた.そこで,表面炭素の低下策として,まずプラズマ浸炭処理時の雰囲気ガス中のメタン濃度を再検討した.次に,プラズマ浸炭後に表層の炭素を拡散させ,最表面の炭素濃度の低下を試みた.さらに,プラズマ浸炭処理終了後に炉内に大気をわずかに導入することで酸化皮膜の形成を促し,耐食性の改善を図った.これらの改善策によって,当初目標としていた耐食性を実現することができた.
詳細はこちらから<PDF:1647KB>
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