地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究所報告(No.28)

平成26年度大阪府立産業技術総合研究所(現・和泉センター)報告(No.28)について紹介しています。

本号では、技術報告6編、技術論文5編、他誌掲載論文等概要52件、口頭発表概要255件、平成24年度合同発表会34件、産技研プロジェクト研究報告会31件、および産業財産権19件を掲載していました。

このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。
また技術報告、技術論文は全文をPDFファイルでご覧いただけます。

※こちらに掲載されている情報は、発行当時の内容をそのまま掲載しているため、技術内容、保有機器、組織名、担当者などが、現在のものとは異なる可能性がありますのでご了承ください。

 

(平成26年9月 発行)


冊子全体のPDFはこちら<PDF:2,975KB>

 

テーマ一覧

技術報告

1 タイルカーペットから放散するフタル酸エステル類のマイクロチャンバー法による測定 喜多幸司・山下怜子
2 めっき皮膜の密着強度評価-各種試験による密着強度の相関性- 長瀧敬行・中出卓男・森河 務
3 高分解能到来方向推定法を用いた超音波位置計測  金岡祐介・北川貴弘
4 ドリル出口バリの生成過程とその抑制 安木誠一・藤原久一
5 ガス透過性防水シートの開発と除染廃棄物仮置場への適用 西村正樹
6 プラスチック粉末RP装置の活用 吉川忠作

技術論文

1 生体データから見る看護実践知の特徴-採血技術実施時の心拍変動の解析- 片桐真子・真嶋由貴恵・前川泰子・川野常夫
2 電析法を用いた白金ナノ粒子触媒の作製 西村 崇・中出卓男・森河 務・井上博史
3 重量測定における信頼性確保 中島陽一・林 寛一・小河 宏・増井昭彦
塚原秀和・岡本 明・左藤眞市・佐谷真那実
日置亜也子・
道志 智
4 マイクロ波・ミリ波・テラヘルツ波領域における
ナノカーボン複合材の電磁波吸収特性
田中健一郎・奥村俊彦・野坂俊紀
5 Cr-SiC高温歪抵抗薄膜の開発 筧 芳治・佐藤和郎・長谷川泰則・竹中 宏 
松元光輝・沢村幹雄

 


 

技術報告及び技術論文概要

技術報告

タイルカーペットから放散するフタル酸エステル類のマイクロチャンバー法による測定
喜多幸司・山下怜子
  
厚生労働省は,シックハウス対策のために1997年以降,13物質について室内濃度指針値を定めてきた.13物質のうち,フタル酸ジ-n-ブチルとフタル酸ジ-2-エチルヘキシルの放散測定方法ついては,2008年にJIS A 1904[建築材料の準揮発性有機化合物(SVOC)の放散測定方法-マイクロチャンバー法]が規格化された.本稿では,バッキング材に塩化ビニルを用いたタイルカーペットから放散するフタル酸エステルの測定を行った結果について述べる.とくに,塩化ビニルの可塑剤に含まれるフタル酸ジエチル,フタル酸ジ-n-ブチル,フタル酸ジ-2-エチルヘキシルを測定対象とした.測定の結果,一部のカーペット表面からフタル酸ジ-n-ブチルとフタル酸ジ-2-エチルヘキシルが放散していることがわかり,得られた放散速度から,室内空間モデルにおける気中濃度増分値の算出を行った.その結果,カーペットから放散するフタル酸ジ-n-ブチルとフタル酸ジ-2-エチルヘキシルについて,モデル室内空間の1時間後における気中濃度増分値は,厚生労働省の室内濃度指針値を超える可能性は低いと推測された.
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めっき皮膜の密着強度評価-各種試験による密着強度の相関性-
長瀧敬行・中出卓男・森河 務
  
めっきは,製品の装飾や下地金属の防食のみならず,耐摩耗性,抗菌性,導電性など製品表面への機能性付与を目的として行われている.これらの機能を発揮させるためには,実使用状況下においてめっきが剥離しない程度の十分な密着性が要求される.しかしながら,めっき密着不良に関するトラブル事例は多く,密着性改善技術はもちろんのこと,密着性評価技術の向上が重要となる.めっきの密着性試験方法については,JIS H 8504などに規定されているが,それらの大半は定性的であり定量的な方法はごく限られたもののみである.また,評価方法が異なると結果の比較が困難であるなどの問題点もある.本報告では,めっき皮膜の密着性評価方法について概説するとともに,難めっき素材である純チタン上のニッケルめっき試料に対して,ピール試験,垂直引張試験及び曲げ試験を行い,各試験方法の相関関係について検討した結果について紹介する.
詳細はこちらから<PDF:4381KB>
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高分解能到来方向推定法を用いた超音波位置計測
金岡祐介・北川貴弘
  
超音波を用いた物体検知や距離計測は,安価な部品で構成が可能であることや,演算量が少ないことから幅広く利用されている.超音波を用いて位置計測するために従来は演算量の少ないビームフォーマ法を採用し,人を一定距離で追尾するロボットや三次元上の位置を測定する空中の超音波画像に用いてきましたが,サイドローブによるS/N比の劣化や角度分解能に問題があり,改善が望まれている.アレイアンテナの分野で提案されている高分解能な到来方向推定法は演算量が多く複雑でハードウェアへの適用は困難でしたが,近年のICの集積化による多機能化及び開発ツールとライブラリの充実から複雑な演算や大量のデータを扱い易くなってきた.ここでは,超音波の位置計測を精度よく行うために高分解能な到来方向推定法であるCapon法と線形予測法を適用したシミュレーション結果について述べた後に,センサアレイと超音波振動子を搭載した回路の試作結果及び実環境下における各手法を用いた超音波の到来方向推定結果についても報告する.
詳細はこちらから<PDF:2070KB>
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ドリル出口バリの生成過程とその抑制
安木誠一・藤原久一
  
ドリル加工は精度と効率のバランスが優れており,様々な場面で広く活用されている穴あけ加工法であるが,刃物で被削材を切りくずとして除去する切削加工である以上,端部でのバリの生成は避けられない.特に,貫通加工時の抜け際に生成される出口バリは,加工物の形状・寸法,機能,品質を悪化させる長年の課題である.これまでに,この出口バリの効果的な抑制手法として,特殊な装置や工具を用いた抑制手法が提案されているが,導入コストの高さからか,広い普及には至っていないのが現状である.本報告では,低コストで容易に導入が可能な出口バリ抑制手法の確立を目的として,標準型ドリルを用いた際の,切削条件が出口バリの形態に及ぼす影響と,ドリルが貫通する際に出口バリがどのように生成していくかについて,詳細な調査をおこなったので報告する.そして,そこから得た知見にもとづき,工具材料や加工条件の最適化といった,コストのかからない比較的簡単な方法だけで,出口バリを効果的に抑制できた事例について紹介する.
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ガス透過性防水シートの開発と除染廃棄物仮置場への適用
西村正樹
  
ガス透過性防水シートは,遮水性とガス透過性を併せ持つ微多孔膜と,微多孔膜の両面を保護・補強する不織布から成る3層構造の複合材料であり,当所ではこれまで,本シートに関する研究開発及び実用化支援を行ってきた.ガス透過性防水シートは,面的な遮水性とガス透過性を併せ持つことに加え,接合部も高度な遮水性を有することが最大の特長であり,その研究開発の成果は,(公社)日本材料学会において,「地盤改良」に関わる技術評価証明 第1013号に認定された.また,第50回全国繊維技術交流プラザの経済産業省産業技術環境局長賞や,第44回繊研合繊賞ニューフロンティア部門賞を受賞した.さらに,ガス透過性防水シートは,福島第一原子力発電所の事故に係る除染で発生した廃棄物の仮置場(除染廃棄物仮置場)の上部シートとしての要求性能を満たしており,環境省や現地自治体等の発注工事において,除染廃棄物仮置場で実際に使用されている.本稿では,ガス透過性防水シートの構成と,基本性能である遮水性及びガス透過性に係る評価技術を中心に解説する.また,除染廃棄物仮置場における上部シートへの適用について述べる.
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プラスチック粉末RP装置の活用
吉川忠作
  
RP(ラピッドプロトタイピング)は3DプリンタやAM(アディティブマニュファクチャリング)とも呼ばれ,製品開発期間の短縮や試作コストの削減,多品種少量生産への適応などの可能性から,関心が高まっている加工技術である.本報告は,RP技術を正確に理解し活用するための情報として,プラスチックRP技術の全体的な説明そして当所設置のプラスチック粉末RP装置について造形性能を含めて解説する.まず,プラスチック材料を対象とするRP技術について,造形原理,各種造形方式の特徴,3次元CADを中心とするデジタルものづくりとの関係,について解説する.つぎに,当研究所に2013年に導入し,依頼加工対応を行っている,プラスチック粉末RP装置について,装置の仕様,造形手順,造形物の例を説明し,RP装置の実力として,造形物の寸法精度,表面粗度,機械的性質を測定した結果を報告する.
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技術論文 

生体データから見る看護実践知の特徴-採血技術実施時の心拍変動の解析-
片桐真子・真嶋由貴恵・前川泰子・川野常夫
  
看護技術における「熟練の技(わざ)」や「コツ」はその「暗黙性」ゆえに伝承されにくい技術である.筆者らはこの「暗黙知」を体得するために「暗黙知」の特徴を可視化し,看護教育の習熟課程に活用可能なツールを目指している.具体的には,被験者として選んだ看護師(熟練者)と初学者に対し,看護技術実施時の脳波や心拍変動,呼吸などの生体データと,手指関節の角度,触覚,手技の速度などの身体データなどを多角的に収集し,その特徴を定量的に明らかにすることを目標としている.本研究では,看護技術として採血実施時の看護師と初学者の緊張状態の比較から,その特徴を定量的に明らかにすることを目的とし,生体データとして着目した心電図波形を分析した.心電図データからR-R間隔を導出し,時間解析では副交感神経指標であるCVI(Cardiac Vagal Index)を,周波数解析では低周波成分LFと高周波成分HFを求め,LF/HFの経時変化に注目した.その結果,初学者では採血技術の成功回数が多い被験者でもCVIとLF/HFの相関は低く採血技術に対する精神的な安定度が高いとは言い難い.すなわち,採血時の心理状態は,初学者と看護師とでは明らかに異なることがわかった.
詳細はこちらから<PDF:1104KB>
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電析法を用いた白金ナノ粒子触媒の作製
西村 崇・中出卓男・森河 務・井上博史
  
白金ナノ粒子は触媒活性が非常に高く,多くの分野で利用されている.特に近年では燃料電池や水電解などの電極として注目され,その需要も伸びている.白金ナノ粒子は,一般的に白金塩などを化学的に還元することにより炭素などの担体上に白金をナノ粒子として担持させるが,反応速度の制御が困難で,さらに製造工程も複雑でコストが高い欠点がある.また,使用する薬品も多く,溶液管理や廃液処理も問題となる.そこで我々は,安価で大量生産が可能な製造技術である電析法に注目して,白金ナノ粒子の作製を試みた.その結果,酸性水溶液中で白金を陽極とし陰極にカーボン基板を用いて電解することで陰極板上に白金ナノ粒子の析出が可能であることを見出した.さらに,特定の条件を選択することによりナノ粒子の形状が制御可能であることも明らかにした.本報告では,触媒作製法(電解処理法)及び本手法で得られた白金ナノ粒子の触媒活性について報告する.
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重量測定における信頼性確保
中島陽一・林 寛一・小河 宏・増井昭彦・塚原秀和
岡本 明・
左藤眞市・佐谷真那実・日置亜也子・道志 智
  
近年,高度な技術開発や製造現場などへの計量管理手法の導入が注目されている.このような計量の品質維持のためには,測定の標準化や装置の維持管理等が必要不可欠である.今回,基本的な計測である重量測定を取り上げ,当研究所における標準的な管理手法を確立することを目的とし,標準分銅の継続的な測定,データ収集及びその解析を行った.得られたデータから,測定室温の影響が大きいこと,てんびんの内部調整機能が有効であることなどを見出した.加えて,データ解析結果から,感度係数及び許容されるばらつきなどの管理値を提案した.さらに,1 gの校正分銅を用い,所内てんびんの動作チェックを行った.この手法はてんびんの維持管理手法として有効であった.
詳細はこちらから<PDF:872KB>
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マイクロ波・ミリ波・テラヘルツ波領域におけるナノカーボン複合材の電磁波吸収特性
田中健一郎・奥村俊彦・野坂俊紀
  
カーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノコイル(CNC)といったナノカーボンは,そのサイズと特異な形状から,様々な用途への応用が期待されている.本研究では,ナノカーボンとスチレン系エラストマー樹脂(SEBS)との複合材を作製し,マイクロ波・ミリ波・テラヘルツ波領域における電磁波吸収特性を測定した.その結果,CNCを重量比で5 %含有する複合材はマイクロ波・ミリ波領域で高い電磁波吸収性能を示し,複合材シートと金属板を張り合わせた単層型電波吸収体は,吸収層の厚み調節により,1~70 GHzの任意の周波数で吸収量を20 dB以上に制御できることが分かった.また,CNTの一種であるVGCFを重量比で5 %含有する複合材は,テラヘルツ領域で高い電磁波吸収性能を示した.この他,吸収層と金属板との間に空隙を設けて,吸収域の中心周波数を調整する方法,及び,多層化による吸収域の広帯域化について述べる.
詳細はこちらから<PDF:3631KB>
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Cr-SiC高温歪抵抗薄膜の開発
筧 芳治・佐藤和郎・長谷川泰則
竹中 宏・松元光輝・沢村幹雄
  
近年,高温や腐食性ガス雰囲気中などの苛酷な環境下で使用できるセンサや電子部品の開発が望まれ,圧力センサにおいても,航空機,自動車,船舶等のエンジン燃焼圧,衛生的配慮が要求される食品産業の殺菌・滅菌プロセス時の雰囲気圧などにおいて直接計測が求められ,473~723 K(200~450 oC)程度の高温で使用できる耐食性に優れた高感度オイルレス圧力センサの開発が期待されている.我々は,受圧体である金属ダイヤフラム上に絶縁膜と歪抵抗薄膜を直接製膜した「受圧管一体型圧力センサ」を開発し,使用する歪抵抗薄膜の高温での電気特性,耐熱性,耐酸化性の改善を進めてきた.今回,イオンビームスパッタ装置を用いて,高ゲージ率を有するCrに高温半導体材料でかつ耐酸化性に優れたSiCを添加したCr-SiC薄膜を作製し,高温用歪抵抗薄膜として種々の特性評価を行った.その結果,室温~773 Kの温度範囲において安定なサーマルサイクル特性を示し,Ni-Cr系合金を使用した高温用歪ゲージと比較して少し大きいGFと小さいTCR値を両立したCr-SiC歪抵抗薄膜が得られたので報告する.
詳細はこちらから<PDF:1635KB>
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