地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究所報告(No.27)

平成25年度大阪府立産業技術総合研究所(現・和泉センター)報告(No.27)について紹介しています。

本号では、技術報告4編、技術論文3編、他誌掲載論文等概要58件、口頭発表概要231件、平成24年度第1回合同発表会22件、平成24年度第2回合同発表会50件、および産業財産権17件を掲載していました。

このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。
また技術報告、技術論文は全文をPDFファイルでご覧いただけます。

※こちらに掲載されている情報は、発行当時の内容をそのまま掲載しているため、技術内容、保有機器、組織名、担当者などが、現在のものとは異なる可能性がありますのでご了承ください。

 

(平成25年9月 発行)


冊子全体のPDFはこちら
表紙~52p<3,374KB> ②53p~裏表紙<1,972KB>

 

テーマ一覧

技術報告

1 褥瘡予防寝具における人体仙骨部の接触圧と皮膚組織血流量 山本貴則・平井 学・片桐真子・木村裕和
西嶋茂宏
2 ワンチップマイコンを用いた福祉機器の開発 北川貴弘・朴 忠植・谷口正志
3 トラブル解析における微小・微量異物のサンプリング方法とその分析例 菅井實夫
4 SUS316L溶射皮膜の低温プラズマ処理 足立振一郎・上田順弘

技術論文

1 インパクト成形における寸法精度向上のための
サーボプレススライドモーションの検討
四宮徳章・白川信彦
2 グラフト化スチレンブロック共重合体の分子量評価 山元和彦
3 カーボンナノコイルを活用した新規セラミックス基複合材料の開発 長谷川泰則・垣辻 篤・久米秀樹・野坂俊紀

 


 

技術報告及び技術論文概要

技術報告

褥瘡予防寝具における人体仙骨部の接触圧と皮膚組織血流量
山本貴則・平井 学・片桐真子・木村裕和・西嶋茂宏
  
褥瘡( 床ずれ) は,持続的圧迫による人体局所の虚血性皮膚壊死である.そのために,褥瘡予防の観点からは,寝具により身体に加わる集中的な応力(接触圧)と皮下の微小循環(皮膚組織血流量)との関係性を明確にした上で,接触圧の低減化や持続的圧迫の断絶により皮膚組織血流量の確保を図ることが極めて重要と考えられる.そこで,褥瘡の最好発部位である仙骨部に注目し,高齢被験者が褥瘡予防寝具に仰臥したときの仙骨部接触圧と組織血流量を同時に計測するとともに被験者の身体的特徴との関係について検討した.その結果,仙骨部における接触圧が低い試料では,皮膚組織血流量が増加する傾向がみられた.また,被験者の身体的特徴と仙骨部の接触圧との関係を検討したところ,仙骨部における接触圧は女性被験者に比べて男性被験者において大きい値を示した.一方,皮膚組織血流量では男性被験者に比べて女性被験者において高い値を示す傾向があった.すなわち,皮下脂肪などの軟部組織が少ない被験者においては,仙骨部における接触圧が高く皮膚組織血流量が低い値を示すことから,被験者の体脂肪率や皮下脂肪率などの皮下軟部組織量の違いが影響を及ぼしているものと考えられる.以上の結果より,褥瘡予防寝具の性能を評価するために,仙骨部の接触圧ならびに皮膚組織血流量を同時に測定することは有効である.
詳細はこちらから<PDF:1699KB>
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ワンチップマイコンを用いた福祉機器の開発
北川貴弘・朴 忠植・谷口正志
  
半導体の高速化・高機能化は留まることなく進展しており,ワンチップマイコンもその例外ではない.それにも関わらず従来のものと価格はほとんど変わっておらず,導入の敷居は高くなっていない.そのため,処理能力やコストの点でマイコンでは実現が難しかった機器への適用が図れるようになっており,特に機器を開発する際の試作機製作には大きな効果を発揮している.このような情勢の中,従来とは異なる考え方に基づく電動義手を共同開発する機会を得た.この電動義手は,操作するために人体の筋あるいは腱と物理的に接続してその収縮量および収縮力を計測することで義手を動作させつつ,義手の開閉度合いと把持力を計測して筋あるいは腱を通じて人体にその結果をフィードバックする,双方向性を有することを特徴としている.本報告では,この電動義手の開発過程で製作した計測・制御システムおよびこの開発のために専用に製作した評価装置を対象として,ワンチップマイコンを用いた機器の開発事例を紹介する.
詳細はこちらから<PDF:2953KB>
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トラブル解析における微小・微量異物のサンプリング方法とその分析例
菅井實夫
  
各種製品に異物が付着,混入するトラブルは,製造,管理,搬送,または消費など様々な過程で生じる.例えば,製品の製造や管理過程で発生したトラブルについては,生産方法や管理体制の見直しを行うことにより,また,搬送過程で生じたトラブルは,搬送方法を変更,改善することで,トラブルの再発防止が図れる.さらに,製品の消費過程で発生するトラブルについては,わかり易いデメリット表示を施すことが,トラブル発生の低減につながる.上述の様々な過程で発生したトラブルの解析においては,フーリエ変換赤外分光分析装置とエネルギー分散型蛍光X線分析装置などにより,重要な知見を得ることができる.特に,トラブル品に含まれる異物が,微小あるいは微量な場合,これらの装置を用いて分析を行うには,異物のサンプリング方法を工夫する必要がある.本技術報告では,トラブル品に含まれる微小あるいは微量異物の分析に関して,これまでに蓄積したサンプリング方法とその分析例を詳しく述べる.

(参考)デメリット表示:商品の性質上あるいは技術的な限界から,消費者にデメリットを与える場合,これを事前に消費者に知らせるもの.
詳細はこちらから<PDF:3644KB>
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SUS316L溶射皮膜の低温プラズマ処理
足立振一郎・上田順弘
  
オーステナイト系ステンレス鋼溶射皮膜は普通鋼の耐腐食用コーティング皮膜として,化学プラントなどの機械部品に適用されている.また,損耗や欠損した機械部品の肉盛り補修などにもよく使用されている.オーステナイト系ステンレス鋼溶射皮膜の表面硬さはビッカース硬さ約300 HV程度しかなく,厳しい摩耗環境下において長期間に亘り使用することは困難である.オーステナイト系ステンレス鋼の表面硬化法としては,例えば,773 K以下の温度で浸炭処理をする低温浸炭処理がある.炭素を過飽和に固溶した拡張オーステナイト(S相)を表面に形成して硬化する方法であり,従来の浸炭処理で生じるクロム炭化物の生成による固溶クロム量の減少に伴う耐腐食性の低下を抑制することができる.本研究ではプラズマ溶射したSUS316L溶射皮膜に低温プラズマ浸炭処理を行い, S相の形成条件の検討,S相の形成による耐摩耗性の改善および耐腐食性の評価を行った.その結果,SUS316L溶射皮膜はSUS316L鋼材と同程度の膜厚のS相を形成できた.また,耐摩耗性は100倍程度の向上が認められたので報告する.
詳細はこちらから<PDF:2120KB>
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技術論文 

インパクト成形における寸法精度向上のための
サーボプレススライドモーションの検討
四宮徳章・白川信彦
  
インパクト成形は,バルク状の素材から深い薄肉容器を一工程で成形できる加工法であり,近年,リチウムイオン電池などの電池筐体の加工において注目を集めている.深い薄肉容器を加工する場合に多工程を要する深絞り成形に比べて,衝撃押出し成形は高効率の製造ができる,残留応力が小さいなどの長所を有するが,寸法精度が低いなどの課題がある.本報では,サーボプレス特有のスライドモーションを活用することにより,インパクト成形の寸法精度向上を試みた.スライドモーションとしては,高速,低速のモーションに加え,成形途中で減速するモーションと成形途中で停止するモーションを設定し,A1070の円筒形状のカップをそれぞれ成形した.成形したカップの内径・外径を測定したところ,成形途中で減速したモーションの寸法精度が高いことがわかった.また,鍛造シミュレータにより成形中の温度を算出したところ,成形途中で減速したモーションでは,成形中の素材温度はほぼ一定であることがわかった.このことから,スライドモーションにより成形中の素材温度を制御できれば,寸法精度の向上を達成できることが明らかになった.
詳細はこちらから<PDF:3283KB>
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グラフト化スチレンブロック共重合体の分子量評価
山元和彦
  
熱可塑性エラストマーであるスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)は,粘着付与剤の添加により粘着剤として利用されている.SISは物理的架橋を形成するハードセグメントであるポリスチレン相とソフトセグメントであるポリイソプレン相がミクロ相分離構造をとるため粘着特性の一つである高い保持力を示す.高分子材料の改質の手段として用いられているグラフト重合法を利用して,SISに対し粘着性を有するメタクリル酸ラウリル(LMA)モノマーのグラフト重合を行い,粘着付与剤を添加しない一成分系の新しい粘着剤の開発を試みた.SISへLMAをグラフト重合することで得られたグラフト重合体について,光散乱検出器,粘度検出器,屈折検出器の3種類の検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて,分子量測定を行い,グラフト重合体の分子量評価を行った.その結果,LMAのグラフト率が高くなるに従い,グラフト重合体の分子鎖の広がりを表す回転半径が小さくなり,よりコンパクトな構造を形成していることがわかった.
詳細はこちらから<PDF:1188KB>
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カーボンナノコイルを活用した新規セラミックス基複合材料の開発
長谷川泰則・垣辻 篤・久米秀樹・野坂俊紀
  
カーボンナノコイル(CNC)は,CNTと同様に高い導電性を持つことに加え,特異なコイル形状ゆえに強靭なバネとしての機械的特性,電磁波に活性など優れた性質を持ち,制振材や電磁波吸収材など幅広い分野への応用が期待されている.中でも電磁波吸収体への応用では,これまでの市販品にはない高周波広帯域での良好な吸収特性が見出されており,次世代材料として有望視されている.しかし,これらの多くは樹脂等の高分子材料との複合化によるものであり,セラミックスとの複合化に関する報告はほとんどない.本研究では,CNCとセラミックスとの融合による新規セラミックス基複合材の開発を目指した.具体的には,CNCと複合化するセラミックスとしてアルミナを選択し,スラリー混合法による分散混合ののち,放電プラズマ焼結法により焼結体を作製した.得られた焼結体に対し,各種評価(機械的・電気的性質等)を行うことで,CNCがアルミナの物性に及ぼす効果について検討した.
詳細はこちらから<PDF:2694KB>
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